<公演終了>2021『永井隆物語』

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、
無観客で上演いたしました。

配信映像 試聴版

「あたりまえの日常」

脚本・演出 亀尾佳宏

一般公募で集まったメンバーでお芝居をつくるようになって10年、参加者はこの雲南市のみならず東は鳥取市、西は大田市、南は三次市と実に広い地域から、下は未就学児、上は70代と実に幅広い世代の延べ500名、観客動員は県内外合わせて1万名を超えるほどとなりました。

公演が終わってからも参加者同士、世代や地域を越えつながりを持ち続けます。
稽古なんかないのに気がつけばチェリヴァホールに立ち寄り、春には花見、夏には花火、ちょっとご飯でも食べようかとお店に入り、あの時の芝居はと昔話に花が咲き、どこどこでお芝居やるらしいよ観に行こうか、今度一緒にお芝居やらない?そんな会話にまた花が咲く。
市民劇をきっかけに新しい団体を立ちあげ上演する者、雲南市に移住する者、知り合った者同士で結婚する者…。
市民劇は私たちにとって日常でした。

2020年2月26日の稽古終わり、皆に言ったことをよく覚えています。

「本番まであとひと月。これからこの芝居はもっとよくなります。頑張りましょう。」

それが、去年上演するはずだった「花みちみちて街」の最後の稽古となりました。

新型コロナウイルス感染拡大によって公共施設は利用自粛。3ヶ月に渡って稽古を続けてきたお芝居を上演できなくなってしまったのです。未知のウイルスによって日常が突如失われる、その最初の経験でした。

あたりまえのことがあたりまえにできなくなって気がついたことがあります。
それは、遠くのことに目を向ける余裕がなくなってしまったことです。今なお世界各地で続いている戦争や紛争、弾圧や人権侵害。未来の人類に問題を先送りし続けている核兵器廃絶と環境問題。昔からそう言った大きな問題を真剣に考えてきたわけではありませんが、「いつか」「どこか」のことよりも「いま」「ここ」のことを考える時間が圧倒的に多くなったように思うのです。

遠くに住む誰か、遠い未来に生きる誰かのことよりも、いまここにいる自分、いま近くにいる誰かのことばかりに目がいくようになってきました。

永井隆博士は、当時「亡国病」として恐れられた結核という感染症に、文字通り命を削って立ち向かった医師。そして戦争に、原子爆弾によって大切な日常が奪われた人でもありました。
そんな極限状態にありながら「いま」「ここ」と同じだけの愛情を「いつか」「どこか」へ注いだ人でもありました。

亡くなって70年目となる今、博士の物語をつくることで「いつか」「どこか」へ想いをいたらせる、そんな契機になればと思っております。

本日はご来場まことにありがとうございました。

雲南市創作市民演劇2021「永井隆物語」パンフレットより

亀尾佳宏[かめおよしひろ]
安来市広瀬町出身、雲南市在住。
演劇部の顧問として松江工業高校・三刀屋高校・三刀屋高等学校掛合分校を指導する。全国大会に7回導き創作脚本賞2度、優秀校国立劇場公演3度。2012年から雲南市創作市民演劇の脚本・演出を担当。雲南市内に留まらず、益田市・奈良県大和郡山市・東京都などでも上演。若手演出家コンクール2014では全国上位4名の優秀賞を受賞。短編演劇コンクール「劇王」では第4回第5回中国ブロック劇王のタイトルを獲得。2017年「劇王Ⅺアジア大会」第3位。2018年神奈川かもめ短編演劇祭第2位など、県外でも高く評価されている。
三刀屋高等学校掛合分校教諭。劇団一級河川、脚本・演出。


新型コロナウイルス感染拡大の影響により、無観客で上演いたします。

本日4月24日(土)
お客様をお迎えして初日を迎えるはずでした。
昨晩もギリギリまで、みんなと「永井隆物語」に向き合い、稽古をしていました。

このようなお知らせをすることになってしまい、私たちも悔しいです。
本当に申し訳ございません…。

私たちはコロナ禍の中、演劇に向き合ってきました。
常に緊張感と隣り合わせで、いつもとは勝手が違ったり、思うように行かなかったり…
一人一人が演劇に真剣だからこそ、悩んだり、笑ったり…

このご時世にお客様の前で舞台上演ができること、
お客様が会場に来てくださること、
受け入れてくださる、チェリヴァホールの皆さん、
感染者を出すことなく初日をむかえること…
いつも以上にありがたく感じていました。

観に行こうと思ってくださるお客様も、
きっと今日の日を楽しみに、緊張感をもって待っていてくださったと思います…。
いつかきっと、皆様の前で上演できる日まで、
これからもずっと、私たちは演劇と向き合い続けていきます。
そして、今日もまた精一杯演劇と向き合っていきます。

2021.04.24
雲南市創作市民演劇 参加者 制作部

◆払い戻しについては◆
雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト実行委員会事務局(チェリヴァホール内)
TEL 0854-42-1155


2021年4月24日(土)、25日(日)
雲南市木次経済文化会館チェリヴァホール 大ホール

これまでに動員数が10,000人を超える異色の市民劇

永井隆記念館の改築オープン(4月20日)にあわせ「永井隆物語」を上演!!

令和3年4月24日(土) 17:30開場 18:30開演
令和3年4月25日(日) 13:00開場 14:00開演
※感染症予防対策を取りながら開催します。

<料金>
【全席指定・各200席】※3月14日 10:00~ 販売開始
一般:2000円(当日2500円)
大学・高校生:1000円(当日1500円)
4歳~中学生:500円(当日700円) ※3歳以下の入場はご遠慮願います。
障がい者手帳保持者割引あり(半額・要事前申込)

<あらすじ>
放射線を研究し、放射線で数多の患者を救った隆は、
その代償として原子病を発症し
余命数年と宣告される。

妻に幼子の将来を託し
残りの人生を自らの体を冒す
原子病の研究に捧げると誓った

昭和二十年、
あの原子爆弾が長崎に投下された。

科学者として、医師として、父として、
そして神を信じる者として、
隆は後世に何を遺そうとしたのか。

永井隆[ながいたかし]
永井博士は、放射線医学の研究から白血病に侵され、また長崎に投下された原爆により重症を負いながらも、43歳で生涯を閉じるまで、病床から「如己愛人」「平和を」のメッセージを全世界に訴え続けた。また、博士は、「長崎の鐘」「この子を残して」などの名作を著し、科学者であると同時にすぐれた文芸家でもあった。不自由な体でありながらも平和を祈り、本を書き続けている永井博士のもとには、昭和天皇やヘレン・ケラーをはじめ、多くの人々が励ましにやってきた。こうして永井博士の平和への願いは、世界中の人々にますます知られるようになった。


脚本・演出:亀尾佳宏
主催:雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト
雲南市民を中心に各地から集まった参加者が演劇の世界に触れる喜びを体感し、相互交流のできる場を得ることで、地域文化の活性化を目的としています。公演・演劇ワークショップなどの企画、制作、開催などを行い、心豊かな人づくり、まちづくりを目指します!

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<プレイガイド>
[雲南]
雲南市木次経済文化会館チェリヴァホール(TEL:0854-42-1155)
雲南市加茂文化ホールラメール(TEL:0854-49-8500)
雲南市三刀屋文化体育館アスパル(TEL:0854-45-9222)
大東公園市民体育館(TEL:0854-43-5511)
[松江]
島根県民会館チケットコーナー(TEL:0852-22-5556)
[出雲]
ビッグハート出雲(TEL:0853-20-2888)

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この記事を書いた人

●お問い合わせは
雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト
実行委員会事務局(チェリヴァホール内)
〒699-1311 島根県雲南市木次町里方55
Tel.0854-42-1155 Fax.0854-42-1251

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